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【解説!】2024年上半期トレンドランキングふりかえり!with TORIHADA

2024年も半年が過ぎました。上半期にはやったモノやコト、場所やサービスなど幾つ思い出すことができますか?トレンドを把握することはもちろん大切ですが、なぜそれがトレンドになったのか?をひもとくと、今後のプランニングにも生かせるはずです。


今回の記事ではショート動画を中心としたマーケティング事業を行う株式会社TORIHADAの独自ランキングを見ながら、TORIHADAプランニングチームマネージャー・平山さんとトレンドになった背景やポイントをひもといていきます!


▼「TikTokクリエイターが選ぶ!流行ランキング2024上半期」ランキング全体はコチラ!

【商品編】餃子マシーンの成功を見届けた人はいるか? 


不完全な動画であればあるほどコメント欄が活発に!

〔1〕餃子マシーン

餃子の皮をセットし、その上に材料をのせると自動で包んでくれるはずのマシーン。実際に使ってみるときちんと包まれることなく、具材が散乱する様子を撮影した動画が多数投稿されました。

日本のトレンドは海外から来ることも多く、今回の餃子マシーンも中国の方が動画で紹介したことが始まりです。日本の方がまねをして購入し、レビューしたことをきっかけに、多くの人がチャレンジ。失敗する動画が投稿・拡散され、ミーム化された経緯があると考えます。このように「不完全な動画」は“ツッコミコメント”が集まりやすく、人気になりやすいです。

〔2〕GENTLE MONSTER

サングラスを中心にアイウェアを展開する韓国発のブランド。2024年3月に日本初のフラッグシップストアを東京・青山にオープンしました。

2位は店舗に行列ができるほど人気になったGENTLE MONSTER。有名K-POPアイドルとコラボしていることや、アンバサダーに選ばれたインフルエンサーに巨大なユニコーンのオブジェをプレゼントし、オブジェのレビュー動画が注目を集めました。「普通では手に届かないような夢をかなえる姿」は視聴者からの憧れをかき立てました

〔3〕ハートマグネイル

磁石を使ってマグネットジェルをハートの形にし、硬化する新しいネイルデザイン。クリップなどを活用したセルフネイルテクニックをシェアする動画が多数生まれました。特に、300円の商品を中心としたショップ「3COINS」の商品など手軽に手に入るものが活用される投稿が目立ちました。

新作が次々と流行する3COINSの商品は、ママ層から圧倒的な人気を博しており、トレンドは若年層だけではなく、幅広い世代から生じるものだと学ばされます。


生活者の心理を反映した本音レビューやチャレンジ動画が加速⁉

餃子の皮と具材をマシーンの上にセットすると、自動で餃子が完成するはずの餃子マシーン。最初に出てきた動画は「成功していない」様子を撮影したものでした。便利なものが出てきたという期待感で視聴していると、無惨にも具材が散らばる様子に思わず笑ってしまいます。「本当はちゃんと作れるんじゃないの?」という疑問も生じ、実際に使ってみたい!と思った人も多かったのではないでしょうか。

クリップを使ってセルフで簡単にマグネットジェルでハートを作る方法を紹介したハートマグネイルも同様で、「自分も挑戦してみたい!」という気持ちが湧いてくるHowTo動画がたくさん現れました。

コスメや洋服、ライフハックなど「本当にできるの?」「これ実際どうなの?」というモノやコトを実際に試してみる、その上でホンネで解説するというスタイルもショート動画を中心によく見られるようになりました。今までは生活者コメントなどで補完してきた投稿が、実際に使ってみた人や、挑戦してみた人の声が動画になり、より分かりやすく解説されるようになってきたと感じます。

生活者の「失敗したくない」「自分に合うのか試したい」「本当にできるのか知りたい」という心理を反映した、ホンネレビューやチャレンジ動画はこれからもっと加速していくのではと思います。

企画のヒント!▶▶▶ まずは「気になる/よく見る商品」を目指す!
やってみたい、失敗したくない、試したい、という感情の動きの前に、まずは生活者にとって気になる商品になることが大切。広告配信やオウンドメディアなどで認知を得て、興味・関心を醸成していき、認知が浸透したところでインフルエンサーによる本音解説コンテンツを出していく、などの二段構えで考えるのがポイントです。


【ワード編】<〇〇界隈(かいわい)>ネットミームについていけてる?

ミーム化されると瞬く間に拡散されるものがショート動画

〔1〕おい笑える

おばあちゃんと若者が川にいる鳥を見ながら話している動画が元ネタ。若者の冗談に対するおばあちゃんの返し「おい笑える」がインターネット上で拡散されました。

一つの動画がミーム化され一気に拡散されました。私の周囲では、会社や学校でも至る所から「おい笑える」という言葉が聞こえていましたね。簡単だけどキャッチーで汎用性の高いワードははやりやすいです。

〔2〕回転界隈

複数人が特定の曲に合わせて90度ずつ回転し、360度回って全身のファッションを見せる撮影手法。ショート動画のトレンドになりました。

ショートムービー×ファッションのジャンルは初期からずっと人気ではありましたが、年々形を変えて流行を生み出しています。今年はマネキンになったように90度ずつ回転するやり方に変化しましたが、2022年はピンマイクを持って「今日は…」と服装を解説する形が流行っていました。

〔3〕バレエコア

リボンやフリルなどバレエをモチーフにした韓国発のファッション。

バレエコアは以前から流行してはいましたが、一つのファッションジャンルとして確立されるほど人気になったと言えます。Y2K(2000年前後のテイストを取り入れたカジュアルな着こなし)の面影を残しつつ、バレエからインスピレーションを受けたデザインは多くの人の“かわいい”と感じる気持ちを刺激しました。海外ではリボンがはやり過ぎて、ケーキや靴、ネイル、パンなどあらゆるものをリボン化した動画が投稿されました。


企業が取り入れるときは「タイミング」と「親和性」が肝!

一つの動画をきっかけにワードが広がる昨今。企業のTikTokアカウントなどでもトレンドを取り入れながら発信することで、動画を見てもらうきっかけをつくることもできます。一方で、ショート動画のトレンドは数週間程度しか持たないともいわれており、どのタイミングでどんなトレンドを取り入れるかがとても重要です。

2位にランクインしている「回転界隈」は、アパレルなどの親和性の高い企業であれば無理せず取り入れられそうな要素もあります。企業アカウントでも取り入れやすいミームは積極的に活用してみるのも、見てもらえる動画を作るコツの一つ。一方、親和性が低い分野では、ミームを取り入れて面白い動画にするのは至難の業。自社企業に向いたトレンドであるかの見極めも大切ですね。

企画のヒント!▶▶▶ 企業発信でミームを作る⁉
曲やダンスなどは、それを作ったアーティスト起点で発信され、トレンドになっていくものも多いものです。ミームに乗っかるのではなく、自社商品を使った思わずまねしたくなるコンテンツを企業側が作成して、広めていくのも突破口になり得るのでは?


【グルメ編】既存商品にひと手間追加!


また見たい…!やってみたい…!食べてみたい…!は、保存数や「いいね!」が増える?!


〔1〕焼きポン・デ・リング

ミスタードーナツで発売されているポン・デ・リングをフライパンで焼くアレンジレシピ。

少し前は、「タピオカドリンク」や「10円パン」など新しくできた専門店でしか買えないグルメが流行していました。一方で最近は、フランチャイズチェーンのお店がはやりそうな商品を積極的に出したり、商品を簡単にアレンジできるレシピを生活者がソーシャルメディアに投稿したものがバズったりするなど、手軽な流行グルメが注目されやすい気がします。それと同時に、そういった企業のデジタル施策への参入も増える傾向にあると思います。

〔2〕ファミリーマート シャインマスカットボンボン

ファミリーマートで限定販売されたグミ商品。ASMR動画が人気となり、入手困難に。

ASMR→モッパン→海外のお菓子→グミブーム、とお菓子の動画にも変遷があります。一度流行すると動画投稿がお菓子で埋まるほど人気になるので、次は何がくるか楽しみです。
直近はグルメ投稿が増えておりエンゲージメントも増えやすい傾向にあります。

〔3〕オムライス兄さん ケチャップ

オムライス系インフルエンサーの「オムライス兄さん」がプロデュースしたケチャップ。

インフルエンサーとのコラボの商品は昔からありましたが、コスメや服、食品、サプリなど多岐にわたり展開されるようになったのではないかと思います。オムライスがおいしく食べられるケチャップは面白いですね。


料理や食べ物の投稿は、憧れるような「暮らし」が伝わるのもポイント!

ちょい足しアレンジ料理や飲み物は、失敗しない方法や作ってみた動画、さらなるアレンジレシピ動画が多数投稿され、実際に挑戦してみようと思った人も多かったのではないでしょうか

投稿されるアレンジレシピ動画はキッチンやお皿がかわいく、丁寧な暮らしが伝わるものが多め。おいしそうなアレンジレシピだけでなく、レシピ以外の要素から「丁寧で余裕のある生活」が伝わることで、憧れたりすてきに思えたりしたという人もいたのではないかと思います。また、サクサクとした食感がある食べ物はASMRとの相性も良く、既存のショート動画に投稿されるジャンルと相性が合っていたため、より広まる結果となったのではと推測できます。

企画のヒント!▶▶▶ ちょい足しレシピ・アレンジはインフルエンサーと開発してみる!
意外な組み合わせなどは外部から生み出されることも多いものです。公式発信のちょい足しアレンジもいいのですが、インフルエンサーや有識者とともに新しい楽しみ方を真剣に開発するのもいいかもしれません。ここで大切なのは真剣さ!真剣に作っておいしいと思えるものを新トレンドとしてみんなでシェアしていくことで、まねしたい気持ちに火が付きます。


【体験編】新エリアもう行った?


モノより体験型を好む若者は定番化?!

〔1〕東京ディズニーシー/ファンタジースプリングス

2024年6月にオープンしたディズニーシーの新エリア。「塔の上のラプンツェル」や「アナと雪の女王」、「ピーター・パン」のアトラクションや建物が新設されました。

モノよりも体験を大事にする人が増えて、一般化してきた傾向にある中、東京ディズニーリゾートは今も昔も“夢のような体験”を大切にしてきた場所であるため、今はより新エリアは注目されますし、どの世代にもずっと愛される場所であることがこのランキングから改めて分かります。

〔2〕うれしいすぎるよ展/そういうことじゃないんだよ展

クリエイティブディレクター明円卓氏を中心としたチーム「entaku」が手がける展示イベント。「うれしすぎる」や「そういうことじゃないんだよな…」など、特定の感情が生まれがちなシチュエーションなどを展示し、来場者の共感を誘いました。その他のワークに「友達がやってるカフェ/バー」「JANAI COFFEE/JANAI GAMES」などがあります。

Z世代の間で体験型や撮影可能な美術館巡りがはやっている中で、「映え」だけでなく自分の感性や個性を大切にしたいという特性が人気につながっているのではないでしょうか。
『うれしいすぎるよ展/そういうことじゃないんだよ展』は、その中でもキャッチーで共感をかき立てる演出が人気を得た理由だと思います。

〔3〕サモエドカフェ

ふわふわとした白い毛並みが特徴の大型犬種「サモエド」しかいない犬カフェ。2023年9月に日本初店舗がオープンし、じわじわと話題が広がりました。

サモエドは元々韓国で流行しており、韓国好きが人気に火を付けたと分析します。動画コンテンツの中でも犬などの動物に関連するものは伸びやすいものの一つです。


展示は「共感」がポイント!

どれも実際に行ってきた人の体験動画が投稿・拡散されました。実際に訪れる前に自分も体験したような気持ちになれる動画がたくさん見られたのではないでしょうか。

未体験コンテンツのワクワク感を自分で味わいたいからネタバレはしないでほしい、という声もありますが、体験動画が増えることでファン以外の層にも知ってもらえるきっかけを増やすことができます。

また、展示や体験が共感をベースに拡散されたのもポイント「これ分かる!」「あるある」「自分だけじゃなかったんだ」と感じる瞬間に気持ちが動き、SNSの投稿として残したい、広めたいというトリガーにつながるとも考えられます。また、「この人/この企業の手がける体験だから参加したい!」という意見も目にします。コンテンツがあふれる今だからこそ、作り手が受け手とこつこつ信頼関係を築いていくのも大切ですね。

企画のヒント!▶▶▶ あえて共有「できない」エリアを作ることが実際の体験につながる!?
体験を他者に共有するのが普通となりつつある中、共有OKゾーンと共有NGゾーンを作り、共有NGゾーンがあることまで含めて来た人には共有してもらうことで、現地に何があるのか知りたい!見たい!という欲求につながる可能性もあります。

2024年上半期の総括 「期待を裏切られたくない」という気持ちに応える


昨今では「期待を裏切られたくない」という気持ちに応えるコンテンツがトレンドになっているように思います。

「やってみたい、試してみたい、でも損や失敗はしたくない」もしくは「自分ならもっとうまくやれるかも」といった気持ちに応えるコンテンツが注目され、自分もやってみたらシェアするという傾向が強くなってきています。企業が発信するコンテンツや広告は、うそをつかず、より生活者の目線で発信することで信頼関係を築くことができるのではないでしょうか。

記事協力

■株式会社TORIHADA Planning team Manager 平山 美颯
佐賀県生まれ。 高校卒業後東京へ上京し資生堂学園で美容師の国家資格を取得。卒業後、株式会社SHACHUへ入社。美容師の傍らショートムービーをSNSに投稿し、集客を行う。集客に成功しショートムービーへの可能性を感じて当時映像の制作会社だった株式会社TORIHADAに入社。2019年TikTok事業に参入しPPP STUDIO株式会社(現子会社)の立ち上げに携わりTikTokクリエイターのマネジメントに従事。TikTok for Businessと連携しTikTokのプランナーとしてさまざまなクライアントを担当(コスメ案件が得意)。2021年1児の母となり育休を取得後、プランナー職へ復帰する。その後プランニングチームのマネージャーとして企画力向上へ貢献しつつ、新規立ち上げのメディア事業の責任者を経験。現在は、女性活躍推進などを含むCulture&IR室の室長も兼務している。

■株式会社TORIHADA
ショートムービーマーケティングを行う広告代理店。TikTokをはじめとして、YouTubeショートやLINE VOOM・Instagram Reelsなどさまざまなプラットフォームを取り扱う。TORIHADAは「意思ある個人による新しい経済をつくる」をパーパスに掲げ、クリエイターエコノミー時代に多様化するビジネスに対応するべく活動する法人・個人を支援している。また、同社子会社であるPPP STUDIO株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:卯木 研也)ではショートムービープラットフォームで活躍するクリエイターのサポートやマネジメント事業を展開する。所属クリエイターの総フォロワー数は2.5億人以上。

株式会社TORIHADA https://www.torihada.co.jp/
PPP STUDIO株式会社 https://pppstudio.jp/


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