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X投稿3,000件超を分析|企業の『ポジバズ』が起きる5つの衝動とは

ソーシャルメディアでは、毎日さまざまな「バズ(※1)」が生み出されています。

不祥事や誤投稿のほか、人によって意見が分かれやすいセンシティブな話題に関する投稿は、批判的なコメント・誹謗中傷が寄せられやすく、「炎上」つまり「ネガティブなバズ」という形で拡散されることもあります。

一方で、決してネガティブなものばかりでなく、好意的なコメントが寄せられて起きる「ポジティブなバズ」も多く生まれています。そして、そんな“ポジバズ”の発端が、企業/ブランドの取り組みであることも少なくありません。

こんにちは、当社のソーシャルメディア専門チームの深谷です。日々、ソーシャルメディアの分析や企業アカウントのコンサルタントを担当しています。

一般ユーザーから企業まで、さまざまな主体がさまざま性質のバズを起こすことが日常茶飯事となった今、改めて、企業/ブランドが目指したい「ポジバズ」とはどんなものなのか。

今回は、過去2年分約3,000件を超える企業のバズ投稿を分析し、ソーシャルメディアでポジティブな反応が起きやすいアイデアには、どのような傾向があるのかを考察しました。このnoteでは、その傾向を「ポジバズを起こす5つの衝動」として整理し、ご紹介します。

※1:投稿に対するリポスト数やいいね数が一定以上あり、話題になること。ソーシャルメディア上のトレンドに上がったり、ニュースになったりするケースが多い。
※2:おおむね、1.000リポストまたは3.000いいね以上の投稿が基準。

「ポジバズ」を生む5つの衝動

調査・分析の内容は下記の通りです。

結果、ポジバズの背景には、生活者の「〇〇せずにはいられない…!」という「衝動」が存在していると考察し、その衝動は大きく5つに整理できます。

❶熱くならずにはいられない…!
❷笑わずにはいられない…!
❸驚かずにはいられない…!
❹愛(め)でずにはいられない…!
❺考えずにはいられない…!

下図は、この5つの衝動と、各衝動が生まれるときに一緒に投稿されやすいワードをチャートにしたものです。
発信をする際、どんな衝動にアプローチできるか、もしくは、バズ投稿が生活者のどんな衝動を生んでいるのか、整理するのに役立ちます。

では、5つの衝動それぞれについて、事例を踏まえながら見ていきます。

❶ 熱くならずにはいられない…!

熱狂や興奮、感動などの強い感情が湧き上がるような衝動のことで、強く共感したり、ひざを打つようなアイデアに出会ったりしたときに起きます。

▼「熱くならずにはいられない…!」に表れやすいキーワード
その手があったか/天才の発想/共感できる/かわいい/一緒に推してくれてありがとう/奇跡の瞬間/秘話/復活 など

❷笑わずにはいられない…!

何か面白いことや楽しいことを見つけて、楽しさや喜び、ユーモアなどの強い感情が湧き上がるような衝動。クスっとするものから爆笑系まで、幅広くあります。流行のミームなどトレンドを取り入れたり、世の中で共通の理解を得られるネタを取り入れたりできると、生まれやすい衝動です。

▼「笑わずにはいられない…!」に表れやすいキーワード
公式の遊び心/鉄板ネタ/開き直り/トレンドのっかり/雑/我が道を行く(姿勢を崩さない、芯・ポリシーを感じさせるもの)/誤字脱字(偶然の間違い)/バグ/既視感 など

❸驚かずにはいられない…!

驚きや感動、驚嘆などの強い感情が湧き上がる衝動を表します。

突き抜けたアイデアや、逆説的なアイデアや、世の中の固定観念を覆すようなアクションが、この衝動を生み出すことが多いです。決して大胆なアイデアだけでなく、その企業/ブランドだから知っている知見やTipsも、驚きを生むことがあります。

▼「驚かずにはいられない…!」に表れやすいキーワード
そこまでやるか/どうしてこうなった/全く予想外/詳しく知りたい/結果が想像できない/スゴ技/爆売れ など

❹愛でずにはいられない…!

愛情や愛着といった感情が湧き上がる衝動です。
この衝動は、ファン心理をつかんでいたり、特定の層との関係を深めたりするコミュニケーションに対して起きやすいです。特定の層やファンの間で、日頃どんな会話や発言が生まれているのか、n=1の声に耳を傾けることも大切です。

▼「愛でずにはいられない…!」に表れやすいキーワード
神対応/褒めたい/讃えたい/あったらいいなを実現/今までありがとう/お疲れさまでした/おめでとう など

❺考えずにはいられない…!

分かっているつもりで実は分かっていなかったことや、難しい問題に直面したとき、困っている人を見つけて助けたいときなどに起こる衝動です。

ソーシャルメディアには、誰か困っている人がいたら、手を差し出し合う文化もあります。さらに、ポジバズを起こした企業/ブランドのアクションが引き金となり、世の中の大きな動きを生み出し、社会課題へのアプローチにつながることもあります。

こちらも、生活者一人一人が日頃抱えるイシューなど、n=1の声を注視することが大切です。

▼「考えずにはいられない…!」に表れやすいキーワード
目をそらしてきたことに向き合う/レスキュー/匂わせ/頭を使う/クイズ/言われてみれば など

バズる“場”と“人”は「全方位」

「どんな場で、どんな人をきっかけにバズるのか」に、公式はほぼありません。思わぬ場で、思わぬ人がバズるケースも大いにあります。

〔場〕企業/ブランドは全方位から見られている

バズのきっかけは、企業側が積極的に発信したものだけでなく、「企業にまつわる全てのこと」といえます。記事の冒頭でも述べたように、「ネガティブなバズ」も起こし得るため、企業は全方位から見られていることを忘れてはいけません

生活者は、店頭、ウェブサイト、社員、広告、発信内容、過去の投稿…など、企業のさまざまな面を非常によく見ています。だからこそ、不祥事などネガティブな事案だけではなく、良い取り組みも拡散され、拍手が送られます。

〔人〕 発信者のフォロワー数は関係ない

企業/ブランドの取り組みに気付いて、発信してくれる投稿者がいる場合、その投稿者の有名/無名やフォロワー数はバズの要因としてほとんど関係なく、投稿者の属性や文脈が重要です。

例えば、育児奮闘中とプロフィールに記載のある一般のママユーザーの場合、フォロワー数はそこまで多くないケースでしたが、大型商業施設のおむつ交換台の設計に感動したという投稿をしたところ、育児をしているユーザーの間で広まり、注目を集め、ポジバズが起きていました。

今回は、ソーシャルメディア上でポジティブな反応を得られ、バズる企画の傾向についてお伝えしました。

企業/ブランドは、ソーシャルメディアの世界にも大きな影響力を持っています。ポジバズを起こすことは、企業やブランドのことを知ってもらうことにとどまらず、さまざまなステークホルダーとよい関係を築き、ソーシャルメディアをもっと良い空間にすることにも寄与していくはずです。

(執筆担当:深谷、鶴岡、山崎、中曽根)


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