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Xティザー投稿10のアイデア|「桃太郎」がキャンペーンに起用されたら?

発売前の商品/サービスや、公開前の映画の情報などを断片的に公開し、興味を喚起する広告手法である「ティザー」
長年使われている手法ですが、情報があふれている今、ソーシャルメディアでの情報発信には 特に欠かせない存在となっています。

こんにちは、ソーシャルハンター/PRプランナーの鶴岡です。社内のXの分析チームに所属し、日々、企業/ブランドのX投稿を分析しています。今回は、企業/ブランド公式アカウントによる、Xのティザー投稿を分析(※1)し、生活者に反応してもらいやすい10個のアプローチの型を考察しました

※1:2023年7-11月の投稿

タイムラインの「おすすめ」枠拡大で、情報を届けるハードルは高くなった

Xのおすすめタブでは最近、自分がフォローしていないアカウントも、アルゴリズムによって 自動で表示される「おすすめ」の表示枠が増えたという声が、Xユーザーの間でも度々上がっています。

ユーザーに合った情報をカスタマイズする趣旨の機能ですが、 発信側からするとユーザーのタイムライン(TL)に表示される機会の奪い合いが起きるため、生活者に情報を届けるハードルが上がっていると捉えることもできます。

ソーシャルメディアでより多くの人に情報を届けるには、こうしたXのアルゴリズムや最新の仕様に合わせ、投稿を最適化することが必須となっています。

発信した投稿が「おすすめ」に表示される条件は さまざまありますが、重要な条件の一つは好反応を集めること。

ここで有効なのが「ティザー投稿」です。

ティザー投稿:情報を断片的に公開し、興味を喚起していくコミュニケーション手法

1回きりの正式な情報解禁とは異なり、そのテーマに詳しいファンや一部の関心層の中で、盛り上がりが何度も起きるきっかけとなり得ます

局所的であっても盛り上がりが大きくなると、「おすすめ」に表示されるチャンスが増え、ファンの外にも広がりやすくなります

ティザー投稿の鉄則

ではどんなティザー投稿をすれば、反応してもらいやすくなるのでしょうか。

多くの企業/ブランドのティザー投稿について分析すると、2つの大切なポイントが見えてきました。

鉄則01:ファンが反応したくなる「分かりやすさ」が大前提

ティザー投稿の目的は、「公式には情報解禁はしていないけど、分かる人(ファン)には実質解禁」という状態をつくり、事前に話題化を図り、解禁する情報を広まりやすくすること。
ただ、難解過ぎるとファンの外には情報が広がっていきにくくなります。あえてコアなファンにしか分からないような難解なものにして、局所的な盛り上がるをつくることもありますが、より多くの人に反応してもらうなら、ライト層でも理解できるような分かりやすさが必要です。

鉄則02:ティザーは「合わせ技」「複数回の発信」もアリ

後述する「ティザーの型」のいずれかを押さえるのもよいですが、複数の型を同時に使うこともおすすめです。オリジナリティーが出て、反応したくなるポイントも増えます。

10のアイデア

下図が、X投稿を分析して導き出した、生活者に反応してもらいやすくなるティザー投稿10のアイデアです。

これらの型について、架空の設定をもとに活用例をご紹介していきます。

例:映画「桃太郎」がキャンペーンに起用されたら?

【架空の設定】
モモ味のエナジードリンク「ピーチエナジー」の発売に当たり、映画「桃太郎」とコラボ。ストーリーは日本昔話「桃太郎」と全く同じで、現代の俳優やCGの動物が出演する実写版。解禁日まで、Xを中心にティザー投稿を行う。

では、この設定をもとに、ファンが思わず反応したくなる10のアプローチをご紹介します。

〔01〕寄る

一部にクローズアップして、ヒントを発信する型
商品画像やコラボするキャラクターなど、情報解禁するモノにズームするなどして投稿します。

活用例:桃太郎がいつもおでこに巻いている「ハチマキ」と特徴的な前髪をズームした画像を投稿。

〔02〕伏せる

投稿文を伏せ字にする、新商品や起用タレントのシルエット/後ろ姿を見せるなど、一部を隠した状態で発信する型

活用例:「桃太郎」のメンバーのシルエットの画像を投稿する。

「寄る」「伏せる」ともに、一部のファンたちが気付き拡散することで、「このシルエットはあの人だ!」「あのコンテンツとのコラボでは?!」と予想合戦が起き、期待を高めることを狙います。

〔03〕明かす

あえてほぼ隠さない、「実質情報解禁」になってしまっている状態で発信する型。
予想の盛り上がりをつくるのではなく、解禁する情報のインパクトで一気にファンの注目を高める手法です。

活用例:「桃から生まれた英雄と、愉快な動物たちがやってくる!」など、何を指しているのかほぼ分かってしまう情報を発信。

〔04〕引用する

主題歌の歌詞の一節、コラボするコンテンツの特徴的なセリフなど、「ファンなら分かる」という情報を引用する型。
ライト層にも分かる簡単なものや、コアなファンにしか分からないマニアックなものまでさまざまです。

活用例:桃太郎の主題歌の歌詞「桃太郎さん、桃太郎さん、お腰につけたきびだんご、一つ私にくださいな」という一節を引用し、投稿文を作成。

〔05〕解く

謎解きを仕掛ける型。
誰でも参加しやすいなぞなぞレベルのクイズだけでなく、謎解きの難度を上げることで、ソーシャルメディア上で情報特定を得意とするいわゆる「特定班」の意欲に働きかける方法も。

活用例:桃太郎のストーリーの冒頭に出てくる「おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に」という一節を知っている人なら簡単に解けるなぞなぞを出題。(答え:川)

〔06〕聴く

コラボするキャラクターやテーマソングを歌うアーティストの声や曲など、ヒントになる音声コンテンツを投稿する型。起用した人やキャラクターのファンが多かったり、クラスタが大きかったりする場合に相性が良く、話題化につながりやすい傾向にあります。

活用例:桃太郎役の俳優の声を音声コンテンツとして投稿。

〔07〕大げさにする

大げさな演出をする型「速報です!」と重大ニュースのような雰囲気で情報発信するなど、すこし大げさな演出をすることです。OOH(屋外広告)などのオフライン施策との相性がよく、体験型の施策を展開することを踏まえてストーリー作りを行うと効果的。
このとき、フェイクニュースにならないよう、見た人が企業のキャンペーンや広告であることが分かるように注意が必要です。

活用例:新宿駅に現れた鬼と、エナジードリンクを飲んだ桃太郎が頼もしく戦う様子を描いた屋外広告を掲出。これに合わせて、「新宿駅に鬼の金棒が落ちている」かのような写真を投稿し、広告の内容を予告する。

〔08〕近づく

企業/ブランド同士やコンテンツとコラボする際、お近づきの様子を見せる型。突然相互フォローになったり、今まで関係がなかったのにソーシャルメディア上で意味深な会話をしたり、何か続報がありそうな気配を出す。

活用例:「〔07〕大げさにする」の活用例に挙げた屋外広告掲出の少し前から、「ピーチエナジー」と「桃太郎」の公式アカウントが相互フォローし、掲出日にはやり取りを公開。

〔09〕例える

新商品自体やコラボするキャラクター、人、コンテンツを別のモノに例え、連想してもらう型。〔04〕「解く」との合わせ技も有効です。

活用例:桃太郎の登場人物を例えたイラストを投稿する。
(桃太郎=モモ、猿=バナナ、キジ=羽、犬=骨)

〔10〕待つ


情報解禁・発売日やコンテンツの公開の時間だけをお知らせする型。
解禁時間を伝えることで、期待を高めながら待ってもらう王道の発信手法です。

活用例:コラボキャンペーンのビジュアルのうち、桃太郎を象徴するものの一つである「のぼり旗(桃太郎旗)」がはためく画像とともに、情報解禁日時をお知らせする。

型の合わせ技例

型を組み合わせることで、よりファンの心をつかむアイデアが生まれることがあります。

一投稿に複数の型を組み合わせることもできますし、下図のように本番まで幾つか投稿を組み合わせ、盛り上がりの波を何度もつくって話題化を図ることも有効です。

ティザー投稿が本番より話題になることも!

情報を見つけてもらいにくくなった今、発信の手数を増やすだけでなく、生活者がつい反応したくなるような工夫が必要になっています。

このような中、ティザー投稿は、アイデア次第で本番の投稿よりも話題化に成功するケースもあります。

ご紹介した10のアプローチは、組み合わせれば一つのコンテンツで幾つもの切り口を準備することができます。

限られたネタで多くの話題の山を作れることも、おすすめポイントです。

ぜひご活用ください!


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