いまこそ!社内広報×エンタメ =「エンターナル」のススメ
人事や社内広報を担当されている皆さん、コロナ禍によりワークスタイルが変わったことで、会社と社員の距離感が変化したと感じたことはありませんか?実は、コロナ禍を経て、「会社への関心が薄くなった」と感じるビジネスパーソンが増えています。
そこで課題となるのが「インターナル(社内)コミュニケーション」。会社に関心が薄い人に振り向いてもらうには、いわゆる組織然とした伝え方ではなく、ワクワク、ドキドキさせる企画や演出が必要。そんな考え方をPRX Studio Qは「エンターナル」(「インターナル広報」と「エンターテインメント」をかけ合わせた造語)と名付け、企業の成長に欠かせない要素として提案しています。今回は、この「エンターナル」のお話です。
インターナルコミュニケーションが必要な理由
リモートワーク化による負の側面として、目の前の「仕事」への向き合いは変わらずとも、「会社」の存在を遠く感じてしまう人が増えてしまうことは想像に難くありません。そもそも、コロナ禍とは関係なく、一定の割合でそういった従業員もいるでしょう。しかし怖いのは、そんな気持ちが組織の至る所へと広まってしまうこと…。チームで価値を創り出していく企業体にとって一大事です。
この気持ちの「距離感」を「従業員エンゲージメント」と言い換えてみると分かりやすいかもしれません。最近耳にする機会も増えた「従業員エンゲージメント」という概念ですが、ここでは従業員の企業に対する信頼や愛着、誇り、貢献意欲と捉えます。エンゲージメントが高いことは、企業経営にとってさまざまなメリットがあります。例えば、雇用の安定化、事業や組織改革のスムーズ化、社員同士の有機的なコラボレーションによる商品やサービスの創造、メンタルヘルスの維持などでしょうか。
実は会社員の4割近くが自社への関心希薄に
直接顔を合わせる機会が少なくなった今ならではの経営課題とも言える「従業員エンゲージメント」。実際の調査を見てみると、会社に関心の薄い社員が増えていることが分かります。
電通PRコンサルティング(略称:PRCD)内のシンクタンクである「企業広報戦略研究所」がビジネスパーソンを対象に行った「インターナルブランディング調査2021」を見ると、コロナ禍を通じて会社や職場について関心が薄くなったと答えた人は37.8%と4割近くにも。企業に対するエンゲージメントの程度別に見ると、高い層では27.2%、低い層に至っては52.9%と5割を超えます。
この調査結果から、コミュニケーションを取りづらい社員が増加している、つまりエンゲージメントを向上させにくい環境になったことに気付かされます。このような状況下で、企業はどのようにインターナルコミュニケーション施策を考え、エンゲージメント向上に取り組めばよいのでしょうか。
同調査では、社内コミュニケーション施策の有無や印象についても聴いています。例えば「社内報」。コロナ禍に、自社の社内報(印刷版/データ版問わず)に触れたことのある人は全体の6割弱にも上りました。一見すると効果があるように思えますが、「なくてもよかった」と感じた人は50.6%、むしろ煩わしく感じた人も21.6%と、受け止め方はまちまちです。これと同じ傾向は「トップメッセージ」や「社員交流施策」にも見られます。
社員に「何を伝えるか」が重要なのは当たり前ですが、「どのように伝えるか」や「どのように巻き込むか」の視点を持たねばなりません。そこで、経営層のメッセージやビジョンを「伝える」「見せる」だけではなく、演出も含めて「魅せる」といった視点が役立つのではないでしょうか。
これからは、社内広報にもエンタメ視点を!
ここで、弊社の事例を一つご紹介します(手前みそな感じもあり少々気恥ずかしい気もしますが…)。PRX Studio Qが所属するPRCDは、先日創立60周年を迎えました。例年の周年行事はいわゆる式典的な内容とそのオンライン配信でしたが、今回は、VRプラットフォーム「Cluster」を活用したオンラインイベントを初開催。VRイベントそのものがもはや珍しいわけではありませんが、これまでと異なる企画で、演出に興味や期待を持って参加した社員は多かったようです。VR空間上でのプレゼンテーションは、オンライン会議ツールで画面を見るよりも空気感や熱量を感じられましたし、社員のことをもっとよく知ろうということで行われた○×クイズではチャットも含めてワイワイ盛り上がりを見せました。リモートワークでは得づらい、和気あいあいとしたコミュニケーションが生まれ、イベント後の社内アンケートでも、8割以上が「満足した」「また参加したい」と回答する結果となりました。VRを活用することである種のゲーム性を持たせた本イベント。これも「エンターナル」の一つです。
エンターナルのヒントになる3つの視点
ここで、エンタメ視点をインターナルコミュニケーションに取り入れて実行するために、ヒントになりそうな視点を考えてみましたので3つほどご紹介します。
プロの力 コンテンツプロバイダー/クリエイターと協業してみる
全てを内製化するのではなく、時にはエンタメ分野に明るいパートナー企業と協業することも良いかと思います。例えば視聴者を引き付けるコンテンツ制作のノウハウを持つメディア等のコンテンツプロバイダーと組むことなどが考えられます。
議論の力 ダイアログ型を取り入れてみる
例えばトップメッセージの発信の際、熱い思いをカメラに向かって語るメッセージビデオもいいのですが、それを番組風のトークセッションにしてみる、というのはどうでしょうか。第三者や現場社員を交えた対話型コンテンツにすることで、議論の中で熱量まで感じ取ってもらう、あるいはふとした脱線気味の話題も含めて楽しめる、といった効果が期待できそうです。
ミラーリングの力 社外発信まで意識してみる
社外の一般生活者でも反応したくなるようなコンテンツ(イベントや動画・画像等)を考えてみましょう。そして実際に社外発信までつなげることができればベストです。そのコンテンツに対して生まれた反響を社内へと返す(ミラーリングする)ことで、効果を増幅することができるでしょう。
「エンターテインメント」はとても幅の広い言葉ですし、プレーヤーやコンテンツも無限大なので、これに限らずもっと多様な視点やソリューションがあると思います。
また、周年行事など一定予算のプロジェクトでもない限りそこまでは…と思われた方もいるのでは。もちろん取り組むのにベストなタイミングがあれば良いですが、入社式や周年式典など予定されている社内施策にエンタメのエッセンスをまずは注入する、そこから始めるのもお勧めです。関心薄めの社員に「おや?毎年のこのイベント、今回はなんか雰囲気違うぞ?」と思ってもらうことを最初の目標にして取り組むのも良いでしょう。
PRX Studio Qでは、企業広報戦略研究所と連携して、インターナルコミュニケーション領域の調査分析や、戦略立案、個別施策のプランニングと実行まで、さまざまなフェーズからお付き合いさせていただくことができます。「どうにか組織にワクワク、ドキドキを…!」という強い思いやお悩みがあれば、ぜひご相談ください。