“伝わる自己PR”は文脈磨き。6つのヒント「PR IMPAKT+」【就活生にオススメ】
就職活動のエントリーシートや転職活動の職務経歴書などでよく見かける「自己PR」。就職の際に、記述や面接で話した経験もお持ちではないでしょうか。「自己PR」という言葉だけ聞くと、自身をよく見せるために「人よりもすごい経験や実績をなんとか書かなければ…」と、気持ちが焦ってしまうことも。自己PRに苦手意識がある方もいるかもしれません。
自己PRのために、急いで経験や実績を無理に増やすことは本質的ではありません。そのとき大切なのは、慌てて行う“自分”磨きよりも、自分の経験や考えを整理する“文脈”磨きです。
なお「自己PR」という言葉の多くは「一方的なアピール」の意味で使われています。今回は、伝えたい相手に対して「伝わる」こと、その結果「お互いによりよい関係を構築する」という点を強調するため「自己プレゼンテーション」という表現で説明していきます。
こんにちは、PRX Studio QのPRリサーチャーの生井です。本記事では、企業/ブランドのコミュニケーション設計に日々向き合っているPRプロフェッショナルが、就職・転職活動における「自己プレゼンテーション」を「自分自身の魅力が伝わる“文脈”磨き」と捉え、そのヒントをご紹介します。
大切なのは「文脈を磨くこと」
同じ経験でも、その人の魅力がグッと伝わりやすくなるーー“文脈”にはそんな力があります。例えば、「野球の大会で優勝した」と話すよりも、「万年最下位だったのに、大学最後の年、野球の大会で初めて優勝できた」と話した方が、その理由など詳しく話を聞いてみたくなります。
自分の経験や事実に基づき、どのような構成と表現だと伝わるか。企業/ブランドのコミュニケーションでいえば、商品やサービスをどのように伝えると、関心を持ってもらえるのか。これを「文脈づくり」と呼んでいます。
多くの企業の新卒採用では、何百・何千という学生がエントリーシートを一斉に提出し、面接で選考が進んでいきます。そんなときでも、他の学生の中に埋もれず、自身の魅力がしっかりと採用担当者に伝わり、「この人のことをもっと知りたい!」「一緒に働きたい!」と思ってもらうことが次につながります。
“伝わる文章”をつくる6つの視点「PR IMPAKT+」
エントリーシートや面接で、採用担当者が「もっと知りたい!」と心を動かされる自己プレゼンテーション。それは、ニュースメディアの記者が、大量の情報の中から「ニュースで取り上げたい!世の中に知らせたい!」と思い、報道する構造に似ています。
少し話題はそれますが、記者の方が「ニュースで取り上げたい」と思う情報とは何かを、6つの視点で解説した「PR IMPAKT®️」(読み:ピーアール インパクト)というメソッドがあります。
このニュースメディア・記者目線の「PR IMPAKT®️」を応用し、就職や転職活動の自己プレゼンテーションに役立つように再編成したのが、次から詳しく説明する「PR IMPAKT+」(読み:ピーアール インパクト プラス)です。
■ Inverse:逆説・対立構造
Inverseは「逆説」や「対立構造」のことです。特に「PR IMPAKT+」の6つの視点の中でも、文字通りインパクトを生み出す要素です。自分の経験に対して「AなのにB」と、意外性を持たせることができます。ここでは、「なのに」を使った文章を考えてみると分かりやすいです。
■ Most:最上級・初・独自
Mostとは「最上級」「初」「独自」といった、自身の経験や結果がどの程度すごいことだったのかを、客観的に説明する要素です。自身が取り組んだ事柄が「最も優れていた」「初めてだった」と言えれば、自身の力を客観的に伝えることができます。
しかし、「最も」「初めて」とだけ聞くと、言えることがほとんどない…と思う人もいるでしょう。そんなときには、学生であれば「県内で」「大学で」「ゼミで」「バイト先で」など、対象となるゾーンを絞ってみることで、言えることがないか探してみると、意外に見つかることがあります。
また、Mostの「独自」を活用し、自分ならではの“独自の視点”や、自分で考えた“独自の解決策や行動”などを挙げてみるのもオススメです。
■ Problem:問題・バリア・壁
Problemとは、その名の通り自身が解決した「問題」「直面した壁」「障壁となったバリア」などです。自身が「学生時代にチカラを入れたこと」(通称:ガクチカ)を説明する際、どんな問題や壁を乗り越えたのかを、導入で説明することで、学生時代に頑張った事柄の「理由や背景」を分かりやすく伝えることができます。
■ Action:行動・実態
Action は、Problemに対して自分がとった行動や、どのような実態があったのかを説明することです。Action は6つの中でも特に自分らしさを伝えられる要素です。先ほどのMostの「独自」と掛け合わせ、問題に対しての自分なりのユニークな行動や、独自性のある解決策などは、差別化しやすいポイントとも言えます。
■ Keyword:キーワード・数字
Keywordは、自身の魅力や最大の推しポイントを一言で伝える要素です。自身の魅力をまとめて、「私は〇〇です」「〇〇な人です」と説明する要素です。例えば、野球選手の大谷翔平さんでいうと「二刀流」等、その人を一言で表せるニックネームのようなものです。
ここで重要なのは、「Keywordは最後の最後に考える」ということです。「私は潤滑油です」などのキャッチーなフレーズからエピソードを探すのではなく、一通り書き終えてから、あえて「一言でいうと…」という順番です。そういう意味では、Keywordは必ずしも必要な要素ではありませんが、もし付け加えることができれば、採用担当者の中で「あの〇〇の学生さん」と、記憶や印象に残りやすい一面もあります。
■ Treasure:得たもの・結果・反響
「Treasure」は、Actionを通じた経験や結果を説明する要素です。自身の魅力を伝える際に、自分の行動によりどのような経験を得たのか、どのような学びを得たのかを説明することで、より深く自分がどんな人なのかを伝えることができます。同じ行動であっても、得る経験や学びは十人十色です。“すごい”学びを無理やり作り出すのではなく、自分が感じた学びや経験を正直に伝えましょう。
「PR IMPAKT+」で情報整理しよう
エントリーシートや面接における「自己プレゼンテーション」は、「何を問題(Problem)だと考え、どのような行動(Action)を起こし、その結果得られた結果や経験(Treasure)は何か」を通して、その「人となり」を採用担当者に知ってもらうものです。
エントリーシートであれば限られた文字数、面接であれば限られた時間の中で、自身の魅力を最大限伝えるために、「PR IMPAKT+」を用いてあらかじめ情報整理しておけるとよいでしょう。
今回は「PR IMPAKT+」を基に、自己プレゼンテーションを考える際の視点を紹介しました。
就職活動では、自分自身のプレゼンテーションと同様に「志望動機」も不可欠です。志望したい!と思える企業や組織が見つかったとき、なぜ志望するのか、自身のどの経験や考えが志望動機とつながっているのか、は採用担当者が知りたいポイントでもあります。
「PR IMPAKT+」では、「自身の魅力が相手に伝わり、お互いによい関係を構築する」というPRの本質に立ち返り、自分を客観的に見直し、“文脈”を磨くヒントとして、ぜひご活用ください。