【完全解説版】情報価値を高めるメソッド「PR IMPAKT®️」
「プレスリリースを出してもなかなかニュースにならない…」
「企業活動をメディアに取り上げてもらうにはどんな“切り口”が…」
広報・PRに関わる方は、そんな悩みにぶつかることもあるのではないでしょうか。
そんなとき「メディアがどのような報道をしているか」を分析することは、「どんな情報発信をしたら、ニュースとして取り上げてもらえるか」を把握することでもあります。
今回は、企業活動やコミュニケーションにおいて、情報設計の際に活用できる6つのポイント「PR IMPAKT®️」をご紹介します。
記者も納得した「PR IMPAKT®️」とは?
「PR IMPAKT®️」は、「メディアが報道したくなるポイント」をまとめた電通グループのオリジナルメソッドです。メディアがどのような視点でニュースのネタを取捨選択しているのか、過去のテレビや新聞などの膨大な報道を分析し、6つの視点に分類したものです。
言い換えれば「企業/ブランドだけの視点」ではなく、メディアという「第三者が伝えたくなる視点」のことです。
実際に大手メディアに勤務する記者や雑誌編集者に「PR IMPAKT®️」をお見せしたところ、次のような納得感のある反応を頂きました。
「PR IMPAKT®️」は3つのカテゴリーで考える
「6つの視点」はどれも重要な視点です。この視点は企画や情報発信を考える人にとってアイデアを発想する手助けとなるもの、またはアイデアを世に出す前にチェックする項目として活用できます。
さらに、この6つは、それぞれ目的別に「3つのカテゴリー」に分けられます。次から、3つのカテゴリーごとに、それぞれの意味と使い方を詳しく解説します。
【1】インパクトの要。情報を強くする「I」と「M」
「PR IMPAKT®️」の中でも、文字通り“インパクト”を生む、最も重要な「情報力の強度」を上げる2つの視点です。それが「Inverse」と「Most」です。6つのうち、最も優先度が高く、発信する情報にはどちらかを必ず入れておきたい視点です。
■ Inverse:逆説
「〇〇 なのに △△」に代表されるように、既成概念や常識を裏切ったり、距離が遠いものを組み合わせて意外性をつくる切り口です。逆説では、2つの距離が遠いほど意外性が生まれ、情報が強くなります。
■ Inverse:対立構造
Inverseの2つめが「対立構造」を持たせる切り口です。「〇〇 VS △△」と表すような対立関係で比較したり、生活者の間で議論が生まれたりするような文脈です。ライバル企業や地域ランキングなど「競合との対立」はもちろんありますが、「自社商品 VS 自社商品」でも対立構造を設計できるのもポイントです。対立構造では、それぞれの派/グループを支持する母数(=議論になる母数)が見込めるテーマ設定も重要です。
■ Most:最上級・初・独自
情報を強くするもう一つの視点が「Most」です。特定領域のスケールを拡大したり縮小したりすることで「世界一」「日本初」などとうたえるものや独自性がある題材は、ニュースとして報じられやすい傾向にあります。
なお、「史上初」「日本一」といった提示は、根拠となる客観的なデータが必要になります。そのような表現が難しい場合は、その企業/ブランドにおいて「当社/当ブランドでは初(ロングセラーや広く周知されている企業/ブランドの場合に有効)」のように示すこともできます。
また、特定領域をトコトン突き抜けさせ、ウェブメディアで用いられるような「○○すぎる」「超○○」といった表現で、突出している部分を際立たせることも一つの手です。
また新しいファクトやエビデンスなど研究・学術系など難しく思われがちですが、生活者の意識調査や実証実験など「独自」の切り口や結果次第で「Most」になり得ることもあります。
【2】説得力を強くし、伝わりやすくする「A」と「K」
2つ目のカテゴリーは、情報の説得力を強くし、伝わりやすくする2つの視点「Actor」と「Keyword」です。
■ Actor…役者・語り部・体現者
簡単に言うと、商品/サービス/企画を伝える上で、誰が語ることが最も「説得力」を持たせられるか、という視点です。社内であれば、社長や事業/商品担当者、若手社員などケースによってさまざまです。社外であれば、CMタレントやキャラクターも、企業/ブランドの語り部です。第三者として、専門家やインフルエンサーのほか、商品やサービスを体験する生活者もこのカテゴリーで考えられます。
さらに、ソーシャルメディア時代の情報流通は「キーパーソン」が重視されるようになってきました。「何を言うか?」よりも、「誰が言うか?」に重きが置かれ、説得力を増すことがあります。Actorを起用する際に重視するのは、「フォロワー数」よりも「まとっている文脈」。つまり、客観的に見たとき、どんな文脈をまとっている人かを見極めることも重要です。
(参考)「インフルエンサーの文脈」に関しては、こちらのnoteで詳しく解説しています。
■ Keyword…キーワード・数字
記事や見出しの「文字数」や映像の「長さ」など、報道する上では物理的な制約があります。そのため同じ現象を伝える場合でも、覚えやすく口の端に上りやすい「キーワード」や、印象に残りやすい「数字」が好まれ、使われやすいです。また、複雑な事柄も「一言」で表現できると、イメージしやすく・わかりやすい情報となり、人に話しやすく・伝わりやすい側面もあります。
「キーワード」で意識したいのは、洗練されたキャッチコピーよりも、短くて覚えやすい「ニックネーム」をつける感覚です。すでに世の中で語られている言葉を土台にする方が、共通イメージを持った上で理解されやすく、人に言いやすく、コミュニケーションスピードが速くなります。既存の言葉や概念をベースに、“ちょっとだけ”新しい言葉をつくってみる (いきすぎ注意!)とよいでしょう。
規模を伝える際には、受け手がイメージしやすい、わかりやすい具体的な「数字」を用いて表現するのがオススメです。
【3】情報を出すタイミングを見極める「P」と「T」
最後のカテゴリーは、「時代の気分」を反映させた視点です。これは、「Public」「Trend」が該当し、端的に言うと「今」というタイミングの必然性が存在しているかです。
■ Public…社会性・公共性
具体的には「現在、社会的に問題視されみんなが知るべき情報か」「社会性を帯びている企業/商品/取り組みか」という視点です。「いいアイデアは、いい問題設定でできている」とも言えますが、世の中の関心が高いテーマを解決する取り組みは報道されやすい傾向にあります。また社会の動きとして、例えば「法律が変わるタイミング」なども、関連する企業/商品の動きに注目が集まります。
■ Public…地域性
地方自治体の取り組み、地域を活性化するような施策はニュース化されやすい傾向にあります。地域によっては、お金がない・人がいないなど”社会課題の縮図”となっている場合もあり、そんなときに知恵や工夫でユニークな取り組みが生まれることが多々あります。
また地方は各地域に根差した地元メディアが存在し、地元で話題になったものが、数日後に全国区で報道されることもあります。地域ニュースが全国区になるケースは、ソーシャルメディアの発展でさらに加速しています。
■ Trend…時流・世相・トレンド・季節性
「365 日のうち、いつ発信するのがよいか」という視点です。「今この瞬間、世の中の関心が高まっているか」という視点で考えてみましょう。常に変化するトレンドや時流は読みづらいですが、年間行事や季節性のある話題は、毎年繰り返し同じタイミングで報道されることも多く、事前に予測しながら情報発信することもできます。
わかりやすいところでは、「〇〇の日」などもあります。ソーシャルメディアでは「#〇〇生誕祭」など、さまざまなトレンドが日々話題に上るので、チェックしておくと学びになります。
PR IMPAKT®️は企画の初期段階に!
「PR IMPAKT®️」は、どの段階で用いるのが効果的なのでしょうか? ズバリ、企画のアイデア出しをする「最初の段階」で「PR IMPAKT®️」を用いて設計しておく方が、よりインパクトの大きい情報設計につながります。
まずは「Inverse…逆説・対立構造」「Most…最上級・初・独自」の切り口で、どちらか要素がないかを考えてみるのがオススメです。
別の角度から、最初に「Public…社会性・公共性・地域性」「Trend…時流・世相・トレンド・季節性」を見据えて、企業/ブランドの取り組みと、社会の動きがフックにならないか企画を練る場合もあります。
一方で、企画がある程度決まっている場合には、説得力を強める「Actor…役者・語り部・体現者」と「Keyword…キーワード・数字」を付け加えることで、情報の“点数”を上げていけないか考えたり、「○○の日」など特定の日に合わせたりすることで、「Trend」の要素を入れることもできます。
【おまけ】「PR IMPAKT®️ チェックシート」
今回は、メディアで報道されやすい6つの視点「PR IMPAKT®️」についてまとめました。こちらに「チェックシート」もご用意しましたので、情報発信の際にぜひご活用ください。
今回は、情報価値を高めるメソッド「PR IMPAKT®️」をご紹介しました。
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