企業がファンと推しへの熱を共有するための「5つのよりそい」
自分の好きなアイドルグループやタレント、キャラクターを「推し」と呼び、応援したりコンテンツを楽しんだりする「推し活」。
タレントやキャラクターが、企業のCMやコラボ商品に起用されると、ファンによる情報拡散や祝福のコメントで熱狂は一気に広がっていきます。
こうした現象は、エンターテインメントの領域を飛び越え、経済やマーケティングの視点でも、一つの社会現象として語られるようになりました。
一方で、熱量の高いファンを抱えるタレントやキャラクターに関する企業/ブランドの情報発信ほど、実は難しく、リスクもあります。
タレントやキャラクターを単に起用するだけでは、ファンと深い関係は築けません。それどころか、ファンの気持ちや推しが持つ文脈を理解せず、安易に活用すれば、かえってファンを悲しませたり、不快にさせてしまったりする可能性もあります。
推しによって動かされるファンのエネルギーや気持ちに寄り添った情報発信を心掛けることで、ファンから信頼され、仲間になれる可能性が高まります。
そうすれば、結果的に企業のファンになってもらえることもあるのです。
こんにちは!PRプランナーの山崎です。
私自身も、平日は定時ダッシュで劇場へ走るタイプの推し活をしています。
今回は、ファンと推しへの熱を共有するために、理解しておきたいファンが大切にしていることへの「5つの寄り添いポイント」と活用方法を整理してご紹介します。
今回のモデルケース
一口に「推し」といってもさまざまな形態があります。
今回は、
❶架空のアイドル
❷架空のVTuber
❸架空のキャラクター
の3つのモデルケースを例に挙げながら、共通して活用できるポイントをお伝えしていきます。
❶架空のアイドル:4人組アイドルグループ「4BOYS」
❷架空のVTuber:推菜心愛
❸架空のキャラクター:キャンディ
上記以外にも、舞台や映像作品を中心に活躍する俳優、漫画やアニメのキャラクター、球団のマスコットキャラクターなど、「推し」と呼ばれる存在はさまざまな領域に広がっています。
ご紹介するポイントが全ての「推し」に通用するわけではなく、各ファンコミュニティーに合わせてチューニングをすることで信頼関係を深めていくことができます。
ここからは、「5つのよりそいポイント」について、解説していきます。
〔1〕数字「01:09に投稿されてる!この時間は…!」
最初に調べたいポイントは、推しにとって意味のある「数字」です。
誕生日や結成日、デビュー日、初冠番組の放送開始日など、タレントやキャラクターとそのファンにとって大切にしている日付や時間、数字があります。
モデルケースで考えると‥
注目したい日付の数字は、下図のそれぞれの赤字が想定されます。
グループ全体ならデビュー日や冠番組のスタート日は推しにとってもファンにとっても大切な日です。
メンバー個人や単体のキャラクターに関しては誕生日が最もイメージしやすいと思います。このほか、コンテンツを初めて投稿した日や、生まれた年なども大切にしたい日付です。
こうした大切な数字に寄り添い、
・「コラボキャンペーンの投稿などの際、投稿日や投稿時間をコラボするタレントやキャラクターの大切な数字と関連付ける」
・「コラボしているタレントやキャラクターの誕生日や記念日にお祝い投稿をする」
といった発信をすれば、ファンとコミュニケーションが取りやすくなり、拡散してもらいやすくなったり、ファンと同じ目線で応援しやすくなったりします。
〔2〕色と絵文字「この色ってもしかして…!?」
日付と同じく、意味のある「色」や「絵文字」も存在します。
戦隊もののように、メンバーカラーと呼ばれるメンバーが担当する色(衣装やグッズなどによく使用される色)や、その人がよく使う絵文字などが例です。
ファンコミュニティの中では、その色や絵文字がそのまま、その人自身を表すものになっていることがあります。
モデルケースで考えると‥
アイドルグループなら、各メンバーのメンバーカラーは代表的です。
個人を象徴するイメージカラーや、ファンが推しを表す際に使う「ファンマーク」も当てはまります。
その人やキャラクターを象徴する模様などもポイントになります。
色や絵文字を組み合わせることにより、名前やグループ名を言わなくてもファンに伝わるケースがあります。
特定のファンに最初に見つけてほしい情報解禁時の施策などに有効な発信方法です。
▼情報解禁時の情報発信設計については、こちらの記事もご一読ください!
〔3〕好きなもの「推しの好物知ってるなんてさすが!」
好物や趣味、口癖、ファンに知られている推しの性格や特徴なども把握しておくことが好ましいです。
撮影現場に好物を差し入れたり、趣味に関連する企画を一緒に作っていくことができると、企業から推しへの愛をファンも感じることができます。
また、情報解禁時に、色や絵文字だけだと他の人とかぶってしまい絞り込めない際は、好きなことや趣味なども併せて発信していくと特定しやすくなるケースがあります。
モデルケースで考えると‥
各メンバーの好きなものや得意なもの、趣味など。
推しの夢や目標なども把握しておけると、よりファンに共感してもらいやすい応援の仕方ができそうです。
さらに、ファンの中ではどう見られているか、どういう性格だと思われているかなど、ファンから見た推しについても一緒に把握できると、より丁寧なコミュニケーションをすることができます。
〔4〕ファンネーム「この呼びかけに答えないわけには…!」
推しのファンコミュティであるファンダム(※1)に名前(ファンダムネーム、ファンネーム)があることも多々あります。
例えば、アイドルグループ「TWICE」であればファンネームは「ONCE」、「NiziU」であればファンネームは「WithU」など、グループ名から派生、関連することが多く、SNSなどで検索すると知ることができます。
唐突に使用すると少し違和感があったり、気付いてもらえないケースがあるため、ファンコミュニティと関係性を築いた上で活用できると効果的です。
一方で、絵文字やファンネームなどは非公式な場合も多く、文脈に合わない使用方法だとあまり好まれないケースも多々存在します。そのため、使う際には注意が必要です。
モデルケースで考えると‥
※1:ファンダム=熱心なファンによる集団や、そこで形成された文化
〔5〕関係性「この二人一緒に出すの、分かってる…!」
推しに所属しているグループやユニットがある場合、グループ内での年齢(年長者なら年上組など)や、ダンスの立ち位置や、ボーカル担当、ダンス担当、性格や趣味が同じ、逆に相いれない二人、などグループやユニット内にも細かい関係性がたくさんあるはずです。
関係性などを考慮して情報発信を行うことで、より共感を得られる場合があります。
モデルケースで考えると‥
「乗っかり」は厳禁!誠実なコミュニケーションを
企業アカウントがコラボ先のタレントやキャラクターにどう触れるかは、非常にセンシティブでもあります。
築き上げてきた歴史にフリーライドしていると受け取られたり、愛のない度が過ぎた「いじり」はネガティブに受け取られるケースも。
コラボに至った経緯や理由なども明かせるタイミングで伝えたり、経緯も含めて分かりやすく情報を発信していくなど、ファン以上に推しやタレントに愛を持ち、ファンコミュニティと一緒に盛り上がるような立ち位置や信頼関係を築いていく必要があります。
ファンが推しの仕事相手に求めているのは自分たちと同様の「愛」です。
推しのよき仕事のパートナーであり、リスペクトを持ってお仕事をしていることや、企業理念やブランドのコンセプトとタレントやキャラクターの掲げる理想や思いが重なっていることが対外的にもしっかり伝わることが「愛のある公式」になる第一歩です。
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