PRイベントってどんな種類があるの?まずは知りたい!基本の4パターン
こんにちは。イベントプロデューサーの斉藤です。
前回は、PRイベントの設計で押さえておきたい3つの「E」について解説しました。
今回は、PRイベントの主要な種類とそのポイントについてお話ししていきます。
PRイベントを取り巻く環境の変化
これまでPRイベントは、メディア向け、生活者向け、投資家向けなど、対象を限定して開催するのが一般的でした。しかし、情報流通の手段や経路が多様化した今、その在り方は大きく変わってきています。
現代のPRイベントに求められているのは、「多様なステークホルダーに『価値ある体験機会』を提供すること」に変わってきました。
直接的な体験価値はもちろん、参加者を通じた情報拡散まで視野に入れた設計が重要になってきています。
せっかくPRイベントを実施するからには、情報を適切にステークホルダーに届け、情報流通の最大化を狙いたいもの。最適な組み合わせや設計をするために、まずは主要なイベントの種類と、そのポイントを押さえておきましょう。
今回は、主要な4パターンのPRイベントについて、ポイントと併せてご紹介します。
1. メディア向けイベント〜情報発信の要となる場づくり〜
◆記者発表会・メディア説明会
新商品や新サービス、新CM、社長交代、事業戦略などを、メディアに向けて「発表」「説明」するイベントです。
ここで重要なのは、既出の情報ではなく、この場で初めて公開される「新しい情報」を提供することです。
発表会に赴くメディアも、そこで得られる新しい情報を基に、記事が書けることを期待しています。既出の情報は、補足説明にとどめて、新しい情報を軸に発表会を組み立てていきましょう。
【ポイント】
企業のビジョンであれば経営トップ、新商品なら開発責任者など、その内容について「最も説得力を持って語れる人」が話すことが重要。
発表会後に質疑応答や囲み取材の機会を設けることで、各メディアごとに独自の切り口で取材しやすくなります。
タレントを起用する際には、知名度だけでなく、商品やサービスとマッチする「文脈」があるかどうかもポイントの一つです。
◆内覧会
商業施設や店舗、展示会のオープンに先駆けて、メディア向けに公開するイベントで、プレスプレビューとも呼ばれます。またメディアを順番に案内し、スタッフが帯同して説明するメディアツアーという形式をとる場合もあります。
オープニングセレモニーを実施する場合も多く、経営トップの登壇やタレントを起用すると、より魅力的な画づくりが可能になります。
また、メディアだけでなく、インフルエンサーや一般生活者も招待することで、ソーシャルメディアで紹介され、さらなる話題化を目指すことが出来ます。
【ポイント】
ニュースに取り上げてほしいポイントを意識しながら取材環境を準備する。
事前にメディアが取材・撮影しやすい環境づくりを心がけることがポイントです。結果的に、体験レポートのような内容でニュースになっているケースもあり生活者の集客につながることもあります。
◆セミナー
専門家やゲストが発表・説明するセミナーや、有識者によるパネルディスカッション、公開討論を行うシンポジウム、参加者とディスカッションを行うラウンドテーブルなど、特定のテーマについて深く掘り下げるイベントです。参加者の知識・意識向上とともに、課題解決のヒントや新たな視点を提供します。
記者向けセミナーの場合、すぐには報道に結びつかない場合が多いですが、「この分野はこの企業が詳しい」という印象を持ってもらえることもあり、今後の取材へとつながったり、良好な関係の構築に役立ったりするケースもあります。
【ポイント】
ニュースや特集に役立ててもらえるような業界の最新動向や、生活者に関係する事象について整理し、分かりやすく説明します。
企業の活動やビジョンについて、専門家からの第三者視点での意見が期待できます。特に、社会課題をテーマとした企業活動などは、第三者視点が加わることで、より多角的な視点から意見が出て、活動への理解度が増します。公平な視点を持ち、業界に深い知識のある有識者の登壇を企画するのもポイントです。
2. インフルエンサー・ファン向けイベント〜共感から拡散へ〜
◆インフルエンサーイベント
新製品の体験会やフォトジェニックな展示イベントなど、インフルエンサーを招待して、ソーシャルメディアでの紹介を主目的とするイベントです。
プログラムやコンテンツはインフルエンサー向けに企画し、ソーシャルメディア上での紹介・話題化を目指します。
メディア向け記者発表会とは異なり、投稿映えするフォトスポットの設置など、ソーシャルメディアで紹介されやすいことを意識したコンテンツ設計が求められます。
【ポイント】
イベントの企画名は、ハッシュタグが広がることを念頭に置き設定します。話題になるだけではなく、訴求したい商品やサービスとしっかりつなげた投稿をしてもらえるよう、意識しながら企画することが重要です。
フォロワー数の多さや影響力の高さだけではなく、「文脈」がマッチしたインフルエンサーを招待することで、インフルエンサーをよく理解しているフォロワーと、企画趣旨が共鳴し、ソーシャルメディアを中心に情報拡散につながります。
インフルエンサーやタレントの文脈については、こちらの記事がおすすめです。
◆ファンミーティング
商品やサービス、企業のファンやアンバサダー活動を行っている一般生活者を招待するイベントです。ロイヤルカスタマーともいわれる熱心な顧客への感謝を伝えるとともに、よりブランドへの愛着を深めてもらう機会として機能します。
【ポイント】
招待された参加者の、特別感を醸成する仕掛けを施すことで、ロイヤリティのさらなる向上につなげることが期待できます。
3. 一般向けベント
◆ポップアップイベント
期間限定のショップやカフェ、展示会など、商品やサービスの世界観を体験できる場をつくり、一般生活者を集客して行うイベントです。
一般的には期間限定のイベントになるため、今だけしか味わえない特別感と、その空間ならではの没入感を醸成することで、魅力的な体験を提供することができます。
【ポイント】
体験している生活者の声は、メディアやSNSを通じてリアルな声として伝わり、体験していない人にとっても疑似体験につながります。
オープン前にメディア向け内覧会を設けることはもちろん、会期中もメディア取材対応が可能な環境を整えておくと良いでしょう。
デジタルのギミックを効果的に活用し、リアルの体験に落とし込むことで、満足度の高い「CX(カスタマー・エクスペリエンス=顧客体験)」を提供することもポイントです。
CXについては、こちらの記事にも書いていますので、ぜひご覧ください。
◆サンプリングイベント
試供品を一般生活者に直接配布するイベントです。従来の不特定多数への配布から、配布エリアや場所を厳選し、特定のターゲット層に焦点を当てた展開が注目を集めています。
ソーシャルメディアで事前に配布場所・時間を告知したり、AIなどのデジタルコンテンツを活用したギミックを用意するなど、配布前後の体験設計まで含めて企画することで、サンプリングを起点にした情報流通を設計することができます。
【ポイント】
誰にでも配っているものと思われるよりも、「自分に向けて配布されている」と思ってもらった方が、自分ゴト化することができ、企業/ブランドとターゲットとの距離が縮まります。
PESOメディア全般を通じた情報発信により、単なるサンプリングを超えた効果的な情報発信を目指すことができます。
4. 社内向けイベント
◆インターナルイベント
社員総会やチームビルディングイベント、社内研修セミナーなど、組織内コミュニケーションの活性化を狙うイベントです。
社員のモチベーション向上、ビジョン共有、コミュニケーション活性化などを目的に、社員参加型コンテンツなどテーマに合わせた企画を実施します。
社員やグループ会社、さらには社員の家族まで、インターナルなステークホルダーとの絆を深める重要な機会となります。
【ポイント】
「なぜこのイベントを行うのか」という目的を明確にし、伝えることが重要。「楽しかった」と思ってもらうことも大切ですが、それだけで終わらせないためにも、何を伝え、何を持ち帰ってほしいのか、参加者の自分ゴト化を促す工夫が必要です。
今回は、主要な4種類のPRイベントをご紹介しました。
細かく見ていくと他にもたくさんの種類のイベントがあり、それらを効果的にかけ合わせた事例も見られます。
まずは基本のPRイベントを知ることで、発信したい内容によって最適なイベントを選択できますし、組み合わせることによって、さらに効果的な情報発信ができるなど、PRイベントの幅が広がっていきます。
今後のイベント企画や設計のご参考になれば幸いです!
最後までお読みいただきありがとうございました。
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