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社内の“ヒト”を起点に、情報発信するときに役立つ10のヒント

継続的に情報発信を行うことは、広報・PR担当者の重要な活動の一つです。しかし、新商品や新サービスが出るタイミングには情報が豊富にあっても、毎日新情報があるわけではありません。発信できる情報がなく、コミュニケーションの機会をつくれずに悩むこともあるでしょう。

このように「社外向けに情報発信できるネタがない…」と悩んだとき、社内に隠れた発信ネタを見つける視点をまとめました。社内の“ヒト”を起点にした情報発信の10のヒントをご紹介します。

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第8回 魅力度ブランディング調査(2023年)

企業の人的魅力を発信することは、社内外に対して有効な取り組みです。社内では当たり前と思われているヒトの情報も、社外から見ればユニークな情報と捉えられ、その企業ならではの魅力に感じられることもあります。

そこで今回は社内の“ヒト”に焦点を当てた、10のヒントをご紹介します。

①開発者/研究者

長年にわたって商品・サービスの開発に取り組んできた開発者や、顧客の細かなニーズに応えるために日々研究を重ねている研究者の方々。ある特定のテーマに対し、情熱を注ぐ専門家としての有益な情報、マニアなこだわりや偏愛を可視化することで、そうしたヒトの姿を通じて、企業の信頼性や技術力などの魅力を深く伝えられます。


・入浴剤やお風呂について知るべく、大学院博士課程にまで通う「お風呂博士」。お風呂の種類、入り方、タイミングなどを追求する
・ヒットを生み続ける商品開発者が、密着番組に取り上げられ、その極意を公開

②第一線で活躍している社員

自社内でも特定の分野で活躍する社員や、ヒットメーカー的な人物、またその業界を牽引するようなトップランナー社員がいれば、積極的に情報発信に協力してもらうのもよいでしょう。第一線で活躍している社員のノウハウや思考、成功体験をインタビューを通じて記事にするなど、自社が業界を牽引するポジションにいるということを、社外に伝えることにも役立ちます。ただし、その思考や振る舞いが、今の時代に合っているかや、社外でポジティブに受け取られるかは見極める必要があります。


・ヒット商品を手掛けたマーケティング担当が、開発過程を語る
・世界的な賞を受賞した社員が、自身が大切にしている思考法を語る

③熱烈なファン社員

本業かプライベートかにかかわらず、高い熱量で趣味を持つ社員に焦点を当て、ファンとして魅力を語ってもらうのもよいでしょう。例えば、個人的な趣味が高じて、仕事にも生かされている企画や、「好き」という情熱が高じて仕事になってしまったことなど、その想いを高い熱量で語ることで、企業文化の多様性や、多彩な社員の才能を伝えることができます。


・本業にまつわる専門社員をゲストに迎えて、その偏愛やマニアックな知識をトークをするYouTubeチャンネルを配信
・趣味のゲームが好き過ぎて、想いを長文メッセージにしてそのまま広告に活用

④社長

企業の顔となる社長の“意外な”個性を伝えるアプローチです。普段見えている業務の顔以外に、企業に対する親しみやすさや信頼感の醸成にもつながります。例えば、社長自らが率先して実践している取り組みやルーティンなどを発信することで、人となりや事業に対する思いが伝わり、企業文化や価値観をより鮮明に伝えることにも役立ちます。一方で、「脚色し過ぎているのでは?」と思われる行動に生活者は敏感です。過剰な演出を加えた行動/言動の発信には留意する必要があります。


・男性育休を社長自ら実践し、それが役員や社員にも波及して男性育休取得率が向上している上場企業
・アルバイトから社長に抜擢された特殊な経緯を、取材を通して語る

⑤アルバイト

個性豊かなアルバイトスタッフを通じても人的魅力を発信することができます。長年アルバイトとして勤務しているヒトの声などを取り上げることで、働きやすい職場環境を伝えることもできます。ユニークなバックグラウンドや特徴を持つアルバイトが在籍していることを把握し、取材協力が得られる段取りをつけておくとよいでしょう。


・90代の最高齢アルバイトを紹介し、シニア活躍について発信
・店舗の運営をパートさんからのアイデアで活性化し、好業績を挙げている事例を発信

⑥インターン(学生)

インターンとして活動している学生も巻き込み、インターン生が担当したプロジェクトや学びを紹介することで、企業の教育姿勢や若手育成への取り組みを発信できます。若手の意見や視点を取り入れることで、企業の先進性や柔軟性も発信できるでしょう。ただし、長期インターンシップにもかかわらず無給といった「やりがい搾取」になっていないか、違法性がないかは注意しましょう。


・学生インターンが主体的に経営を行うショップをオープンすることを発信し、未来のまちづくりを印象付ける
・10代の学生たちを集め、コンセプトを持たせた新たな役職に就任したことを発信

⑦ダブルワーク社員

企業から副業を認められている社員がいれば、特殊な経歴や特技を生かして、ダブルワークをしている社員にスポットライトを当てるのも一つの手です。本業以外の側面にも光を当てることで、社員の多面的な魅力や、柔軟で多様な働き方を支援する職場環境を伝えられます。


・本業と副業の二足のわらじを履いている社員を、本業の企業が応援
・リスキリングを通じて、新たなスキルを学び、副業をしている社員にスポットライトを当てる

⑧転職者

他業界から入社した転職者にフォーカスすることも、有効な情報発信の視点の一つです。他業界から来た視点から、自社や自社の業界を俯瞰してみたり、転職した理由を紐解くことで、企業のよさやチャレンジを受け入れる姿勢、業界への期待感・成長性などを、客観的に伝えられます。


・他業界から来た転職者の経歴や、入社理由をひも解く
・実際に入社して、ギャップがあったか、自社の働きやすさなど、フラットな視点で語ってもらうことで、客観的に企業のよいところを伝えていく

⑨元社員

自社を退職した社員に社外向けの情報発信に協力してもらうことも手段の一つです。卒業生という意味で「アルムナイ」とも呼ばれることが増えており、近年は広報発信にも一役買っています。在籍時の思い出や、当時と現在の企業の違いについて、退職後にも企業とどのように関わっているかなどを紹介することで、企業の実情やキャリアビジョンが伝わり、ポジティブに受け止められることにつながります。


・アルムナイをコミュニティ化し、外部人材として活用することを発信
・退職者インタビューとして、在籍時に培った能力や経験を公開

⑩キャラクター

企業やブランドのキャラクターを「ヒト」として扱い、コミュニケーションに活用することも可能です。季節や周年企画など、イベントに合わせて衣装やセリフを“キャラ変”することで、継続的かつ新鮮な情報発信にもつながります。ただし、あくまでもかわいがられる範囲内で、変化をつけていくことがポイントです。ブランドのイメージを棄損するようなやり過ぎには注意しましょう。


・ブランドのキャラクターの変遷をもとに、どのように時代に合わせて変化してきたのかを伝える
・看板キャラクターをイメージチェンジした風貌にし、さらに新たな商品パッケージに活用する


今回は、「発信できるネタがない…」と思ったときに、社内から情報を見つけるヒントをまとめました。実際に社員の方にヒアリングしたり、アンケートをとったりすることも、社内に眠っている“ヒト”情報を掘り起こす近道です。

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