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社内の“ざんねんネタ”をポジティブに変身させて情報発信!7つのヒント

自社の商品やサービス、取り組みを伝えるために、ソーシャルメディアのアカウントやオウンドメディアなどで継続的に情報発信していくことは、広報/PRとしても大事なアクションです。一方で継続的な発信に加え、発信する情報のネタ探しに頭を悩ませることもあるでしょう。

今回は、社外への情報発信ネタ〈第2弾〉として、一見ネガティブに思えるような「社内の”ざんねんネタ”」を、ポジティブな情報発信に変えるヒントを紹介します。(▼第1弾のnoteはこちら)


「眠れる資産」を掘り起こそう!

社内にある情報は、一見すると何の変哲もないものと思いがちですが、実は意外にも価値のある情報が多く、いわば「眠れる資産」です。

自社商品/サービスの使い方といった、社内では「当たり前」と思いがちなことでも、外部からは目から鱗の情報も多く、生活者やメディアなどさまざまなステークホルダーの関心を高め、認知度向上やブランディング強化に貢献したり、生活者とのコミュニケーションが活発になったり、信頼感醸成にもつながります。

今回、特に注目したいのが、廃番やボツ案、失敗談など企業/ブランドにとって「価値が無いように思えるような、いわゆる”ざんねんネタ”」です。

企業が情報発信する際について、どのようなコンテンツが魅力的に受け取られるか、当チームが10~40代男女を対象に調査した「企業ショート動画で魅力を感じるポイント」について見てみましょう。(調査詳細はこちら↓)

企業ショート動画で魅力を感じるポイントという調査結果では、「新商品やキャンペーンの情報」「商品やサービスの詳細」に次いで、「ほかでは見られない開発秘話や裏話」「その企業だけが知っている商品の活用法や裏話」が上位でした。

生活者は「その企業だから語れること」や「これまで明かされてこなかったユニークな裏話」に関心が高いことが分かります。ネガティブに思えるサービス開発時の失敗談や廃番商品の背景も、いわば「その企業だから知っている裏話」。生活者にとっては「ここでしか聞けない価値の高いコンテンツ」と受け取られるのです。

具体的に、「情報発信ネタ」に変えられそうな社内情報を、以下に7つ挙げました。

  1. 昔のもの

  2. ボツになったアイデア

  3. 自虐

  4. 悪い口コミ

  5. 廃番商品

  6. 失敗談

  7. 専門用語

それぞれ詳しくお伝えしていきます。

1. 昔のもの

商品/サービスの旧パッケージや昔のコマーシャル、会社の昔の慣習など

△ネガティブ:古い、昔のものはダサい、価値がない…
   ⇓
◎ポジティブ:懐かしい、今の時代から見ると新鮮、逆に新しい視点をもらえる、いとおしい…

昔のもの/古いモノは、当時を知る人にとっては懐かしさや温かみを感じさせる一方、若い世代にとっては、近年のレトロブームもあり、新鮮で興味深く映ります。また、商品/サービスの歴史や伝統を感じさせ、ブランドイメージの強化にも役立ちます。

例:〇年ぶりに開催される話題のイベントに合わせて、開催当時発売されていた旧パッケージのビジュアルイメージを一緒に発信する
例:歴代パッケージを並べて、ソーシャルメディアで発信する
例:商品の発売の〇周年に合わせて、復刻版を発売する

2. ボツになったアイデア

商品/サービスが開発・発売される過程で、ボツになったアイデアやパッケージデザイン

△ネガティブ:途中のアイデアやデザインは公開する必要がない、価値がない…
   ⇓
◎ポジティブ:背景や過程が分かって新鮮、こんな裏側があるとは…


ボツになったアイデアやなぜボツになったのかなどの過程や背景を発信することで、開発のこだわりや、社員/ブランドの挑戦的な姿勢やクリエイティブな発想などの強みを、ストーリー性を持たせながら発信する機会に変換できます。

例:人気商品のボツになったロゴのデザイン案を発信。実は数十種もの案があり、その中から現在のロゴが生まれたというストーリーに、そのこだわりを称賛するような好意的な意見が広がった

3. 自虐

商品/サービスについて、自社が抱えている課題・弱みを、自虐ネタとして発信

△ネガティブ:失敗、外に見せてはダメな部分…
   ⇓
◎ポジティブ:新たな発見と驚き、親近感、笑える…

自社が抱えている課題を公開したり、それを自虐ネタとして伝えたりすることで、生活者に親近感を感じてもらい、距離を縮めるチャンス。一方で、過剰な自虐だけではマイナスプロモーションを強めてしまうため、発信する上では自虐は度を越えないように加減し、チャーミングさを残すことに加え、課題を改善する努力やプロセスを伝えることが大切です。

例:敷地が広過ぎて入場者がいないように見える施設が、ネガティブな印象を逆手に取り、自ら「人が全然いないと話題」と情報発信をする

4. 悪い口コミ

商品/サービスについて生活者が感じている問題点や意見を、誠実に受け止めて改善する姿勢を示す

△ネガティブ:商品/サービスにダメなところがある、評判が悪い…
   ⇓ 
◎ポジティブ:改善する企業努、顧客の声を大事にする誠実な姿勢…


悪い口コミが書かれている場合も、生活者から指摘された点を誠実に受け止めて改善する姿勢を示す情報発信を行えば、信頼の獲得、ブランドイメージの向上、顧客満足度の向上など、プラスに転じられるチャンスになります。「ここまでするのか!?」という生活者の期待を超えるほどの改善姿勢を見せることがポイントです。また生活者にとっては、「一緒に改善していくプロセスに参加している」という実感も感じます。

例:顧客からの指摘があった商品の不備を改善しようと、全国から検証品を集めて回収し、開発テストを繰り返す様子を発信する
例:リニューアルした商品に対して、「前の方がよかった」という声が多数集まったことを公開し、顧客の声を誠実に受け止め検討を重ねた上で、リニューアル前の状態に戻し、好評価につながった

5. 廃番商品

商品/サービス自体が廃番になるお知らせ、廃番になった背景、代替商品のお知らせ

△ネガティブ:売れなかった、人気がなくなった、なくなってしまった…
   ⇓
◎ポジティブ:懐古する機会、支えてくれた方に感謝を伝える機会…

廃番となる・なった商品/サービスに関して、ただ廃番を伝えるのではなく、愛用していたファンの惜しむ気持ちに応えるため、感謝の気持ちや社員の思い、廃番の背景、代替商品を丁寧に伝えるといった企業の誠実な姿勢を示すことも必要です。

その姿勢にファンが共鳴することで、局所的な熱狂が起き、ファンの外にも情報が広がりやすくなります。

廃番の背景に、時代の変化や社会課題があるケースも多いので、そうした要素も分かりやすく伝えると、関心を持ってもらいやすいです。

例:かつて人気だったが、現在売れなくなってしまった商品が半年後に廃番になることを伝え、その商品の歴史を語る
例:廃番になった商品が好きだった社員が、廃番になった背景とその熱い思いを発信する

6. 失敗談

企業の経営、商品/サービスに関して失敗したこと、それを乗り越えた方法・経緯・歴史

△ネガティブ:不祥事を起こした、失敗をした企業/ブランド…
   ⇓
◎ポジティブ:不祥事や危機を乗り越えるために企業努力を重ねてきた、危機を乗り越えたからこそ語れることがある…


失敗を隠さず、正直に語り、そこから何を学び、努力をしたのかを伝えることで、信頼の再獲得、企業/ブランドイメージの向上につなげられます。もちろん、不祥事の被害者がいる場合など、情報発信によって不快に感じる人がいないか細心の注意が必要ですが、失敗から得た教訓は、他企業にとっても、生活者にとっても有益な情報です。また危機を乗り越えた経験を共有することで、自社の社員のモチベーションが向上するきっかけにもなります。

例:不祥事を起こして業績が悪化したメーカーの社長が、不祥事を乗り越えるために企業努力を重ね、V字回復をした歴史と取り組んだ内容について語る書籍を発行

7. 専門用語

業界内で使われているけれど、その意味があまり知られていない、伝わりにくい専門用語を解説付きで発信する

△ネガティブ:難しすぎて知られていない、外部から関心がなさそう、なんとなく聞いたことはあるけれど正確な意味を知られていない…
   ⇓
◎ポジティブ:こんな言葉がある、そういう意味なんだという発見…

自社では当たり前に使っているけれど、一般的には意味が知られていない、実は正しく理解されていないような専門的な用語の解説をすることで、自社/業界について理解しやすくなり、親近感を持ってもらうきっかけとなったり、関心を高めたりすることができます。また、業界の人にしか分からない、呪文のような専門用語について発信することで、業界内の人の中で局所的に発話が生まれ、その話題が業界外に広がるケースもあります。「難し過ぎる専門用語」「分かるわけない」といった驚きとともに関心が高まることも。

例:出版社が「重版出来」「ゲラ」など出版に関する専門用語について解説する
例:化学工業メーカーが実際に実験を行いながら、インパクトのある映像とともに、理系用語を解説する

企業と生活者のよい関係づくりに「弱み」は役立つ


一見「ネガティブ」に思える社内で見つけた”ざんねんネタ”を、「ポジティブ」な情報発信に変える7つのヒントをお伝えしました。

近年はソーシャルメディアなどで、情報があふれ過ぎているため、「企業らしい=独自性のある」情報でないと、生活者からはスルーされてしまいます。

だからこそ、企業にとって一見ネガティブな側面のある情報も、「うちの会社らしさ」を適切にさらけ出すことで、生活者からポジティブな反応を得ることができ、良い関係づくりにつなげられます。

最後に。見つけたネタが社外情報として発信するに値するものなのかどうかを判断に困ったときは、基本である「PR思考」に立ち返るのもオススメです。情報を企業視点だけで語るのではなく、世の中視点を持って語ることで、生活者との接点を持ったポジティブな情報発信ができます。(「PR思考」についてはこちら)


今回も、お読みいただきありがとうございました。

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